去る8月31日㈮、OGS(大阪府グラフィックサービス協同組合)役員メンバーを中心に他府県JaGraメンバーも交え、総勢15名で秋田県仙北市を訪問しました。彼の地は内閣府のロボテイクス技術の推進施策の観点から創設された国家戦略特区(大胆な規制緩和や税制優遇により特定分野において世界で一番ビジネスがしやすい環境創設を狙いとする)の一つで、ドローンの実用化の実証検証をミッションとしています。ドローンとは無人航空機の総称であり、直訳は「ハチの飛ぶ音」。正午過ぎに、由緒ある「思い出の潟分校」を表敬訪問し、まず、特区戦略室主任・明平英晃氏による仙北市の取組を紹介いただきました。次に、JaGra秋田県支部のくまがい印刷・熊谷健司氏の新規事業「スカイコンテンツ事業」の概要および行政と連携したさまざまなコンテンツの紹介。その後、比較的操縦が容易な簡易ドローンの実地体験とレース機のデモにより、ビジネスとの融合のイメージが湧きにくかったドローンコンテンツが俄かに鮮明になりました。
くまがい印刷は秋田ドローンコミュニテイという団体の事務局も運営され、秋田市と災害協定を結び有事の際のドローンを活用した被災地探索などを引き受けておられます。また、ドローンテクニカルチャレンジというドローンの操縦技術を競う全国大会を自治体と共同で運営されたりと、単にドローンを使って空撮や農薬散布を請け負うということではなく、行政とタッグを組んだ地域活性化にチャレンジして、その副次的な要素としてドローン=くまがい印刷という圧倒的なブランデイングに成功され、自治体からの印刷の仕事にも結び付いているそうです。
熊谷氏いわく「少子高齢化と政府の第4次産業革命に対する後押しの影響でロボット産業の成長は間違いない。しかしドローンにしても、顕在化した空撮の請負のようなビジネスは既にレッドオーシャン。我々印刷会社が培ってきたコンテンツを加工する技術や幅広い顧客層を活用し、潜在しているニーズを掘り起こし新たな成長産業を創出することは可能ではないか。キーワードは災害対応、人命救助、効率化のイノベーション」
東京をはじめとした大きな都心部と秋田県のような人口減少に歯止めがかからない地方都市とでは同じビジネスモデルは成立しないでしょうが、地方での市場創出とマーケティングの成功事例として、今回の研修でのインプットは大きかったと思います。IGAS 2018でも感じましたが、サプライヤーが提供する高付加価値機能を有した設備を導入しただけで儲かるわけもなく、今回のドローンでもそれを使って顧客と社会にどう役立つかを明確にしていくことが我々印刷会社に求められるミッションではないかと強く思った研修旅行でした。
OGSとしても同じ商圏で同様の商いをしている組合員同士の交流では得られないインプットの機会を、更に提供していかねばならないと痛感しました。全国のJaGraのネットワークはそのための最高のインフラですし、賛助会の皆さまの協力も仰ぎながら市場創出をテーマに、今後も研修を企画してゆこうとOGS参加者一同で確認しあい、帰路につきました。
(OGS広報担当理事 木原 庸裕)